うつは恐ろしい病です。現在、心療内科やクリニックでは、様々な精神疾患を扱いますが、かかった人の命に直接関わる事態になる症状はそう多くはありません。うつ病はその代表的な存在です。誰にでもなる可能性があり、放置しておくととても危険な病です。様々な入口があり知らないうちに症状は進んでいくので、疑いを持ったらなるべく早く専門機関の診療を受けましょう。まず、うつの入口は様々です。「真面目で根気をつめる人がなる」「中年以上の男性に多い」などと言われていたうつですが、最近は理解が深まり、誰にでもなる危険性があることが分かっています。働き盛りの男性ばかりではなく、最近は小中学生や若い男性、女性にも症例は増えています。症状もさまざま。「朝が辛くて夕方楽になる」人もいれば「夕方から夜中にかけて辛い」と言う人もいたりします。気を付けたいのは「辛い」がとても長く続くことです。具体的な気がかりや悩みがあったとしても人は、ある瞬間には気分が転換できます。うつの人はその辛さが、どこまで行ってもついてきます。しかしそれはその人のせいでは決してないのです。そして、うつ病は治療しないと治らないものちょっとした気分の落ち込みや一時的なショックと、うつになった人は違います。うつはいわば脳の機能不全なのです。胃の働きが悪い時に胃腸薬を飲むことや、風邪をひいたときに解熱剤を飲むように、医学的なアプローチで症状は必ず回復に向かいます。放置すればするだけ、辛い時間は伸びていきますし、医院で相談を持ち掛ける気力もだんだん喪われていきます。自分の症状を理解し、まだ自分が意志をはっきりと決められるときに治療に踏み切る、それもうつから立ち直る一番の早道です。うつの治療には、長い時間が掛かります。どんなに優れた薬でも、服用を始めてから1週間以上はかけないと気分の落ち込みは改善していきません。早く、すぐどうにかしたい、なぜだめなのだと言う気持ちが症状を助長します。投薬は効果が表れるまでが、非常に辛いです。気持ちをのんびりさせ、「今、しなくてはいけないこと」を手放すのが最善の治療になるのだと言うことを言い聞かせましょう。ある日ふっと、肩の荷が降りるときが来るはずです。このように、うつは根気と気力を試される病気です。そもそも病気によって消耗させられた気力で持ちこたえなくてはならないのですから、どうしても時間が掛かります。大事なのは気力があるうちに「症状があること」を認め、相談に踏み切ることです。勇気はいりますが、それが一番、楽になる早道です。そうだと思ったらためらわず、専門機関など信頼できる場所で診断を受けましょう。